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Sleeping Beauty

2006年08月21日 18:26

ある朝、女は眠りについた。


お母さんは眠っている。
お姉ちゃんは眠っている。
妹は眠っている。

子供の産めるような年齢の女達は、みな、まぶたを開くことがなくなった。いま街に出ると、老女か幼女しかいない。あと20年もたてば、眠っている女達と、傍で立ちつくす男の姿しか見ることができなくなるだろう、とは、専門家の言である。
眠り姫症候群。
いつしか、そんな名前がついた。
誰もが待ち望んでいた「王子」は、ついに現れることはなかった。
男達が何をしようと、女達は眠り続ける。
不思議なことに、頬はきちんと桃色で、すうすうと寝息もたてている。ただ、皮膚を薄いなにかが護っているらしく、女達を傷つけることはできなかった。

美しい少女は観賞用に売り飛ばされた。きれいな服を着せられて、金持ちの趣味の部屋に置かれた。
不眠症の薬が飛ぶように売れた。
男どうしが寝るのがあたりまえになった。
変わっていく町並みを、老女だけが静かに見ていた。

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いびつなサイコロ

2006年08月21日 13:18

「例えば何回投げても6が出るサイコロがあったとしよう。もちろん何の細工もしていないよ?でも不思議なことに、何度投げても6が出るんだ。けれども、もしかしたら次に投げたら1が出るかもしれない。立方体のサイコロならば、確立は六分の一のはずだから。
それでも。
何回投げても6は出続ける。
おんなじことなんだよ。僕らは、割に合わないサイコロを持って、人生ゲームをしているようなものだ。どんな事象も起こる可能性があると信じて、ひたすらサイコロを振るだけ。
もしかしたら、頭に隕石がぶつかる可能性も、誰かと恋に落ちる可能性も、サイコロの一つの面に過ぎないのかもしれない。いつ、その目が出るのかわからないけれども、いつかは出る可能性なのかもしれない。
そういうふうに、僕らには信じることしかできないんだよ。
自分のサイコロが割りに合わない、いかさまのサイコロだとわかった上で、それを使い続けるしかできない。」
 彼はアイスコーヒーを一口飲んで、気弱そうに微笑む。
「それでもね、僕は『努力』って単語に焦がれて仕方がないのさ」
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