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初夢 第二部

2007年01月04日 20:10

そこには一つの呪いがあった。
それはその国の少女だけが怯える呪いだ。男の人と一線を越えたとき、緑色の文様が体中に浮き出、それが一年間続くというもの。その緑の文様が浮き出ているとき、少女はかつてないほどに美しくなれる。しかし、その美しさとひきかえに倫理は失われ、妻のいる男を誘惑し、暴力を好む性格になってしまうのだった。
昔語りの老婆は伝える。かつてこの地にあったこと。おしべとめしべと呼ばれた姉妹たちの行く末を。老婆は、これはきっとおしべの呪いなのだと言った。
文様の浮き出た少女は種たち、と呼ばれ、海にぽっかりと浮かぶ孤島へと隔離された。この呪いはめしべの血を受け継ぐ子どもにだけ現れると考えられていた。しかし、姉妹の生きていたのはもう何百年も前のことで、自分にその血が受け継がれているのかどうか、少女たちにはわからないのであった。

一人の少女がいた。彼女は、一生をささげる恋人と出会ったばかりで、自分にめしべの血が流れているものかどうか、考えたこともなかった。
けれども、少女は愕然とする。恋人とはじめての朝を迎えたとき、カーテンを開ける自分の手に緑色の網目が浮き出ていたからだ。
「逃げよう」
振り返ると恋人が言った。
「あそこの孤島に閉じ込められて、帰ってきた女はいないっていう」
恋人の目はうるんでいた。「僕は君がいい。一年間、肌を隠せればいいんだ。呪いで起こる君の変化を、僕はきっと受け止めてみせるから」
少女は恋人に抱きとめられ、うなずいた。
けれど、その覚悟はすぐに打ち砕かれることになる。
少女が種であることはすぐにばれ、孤島へと送られることになった。
恋人は少女の送られる船へ隠れて乗り込み、島にいる種たちみんなを逃がそうと考えた。
しかしそれは甘かった。
呪いは、一人の少年の手に負えるものではなかったのだ。
閉じ込められていた種たちは何人も、何十人もいた。そしてその誰もが男を欲し、少年は子羊のように扱われた。
少女が恋人と出会うよりも先に、少年は何人もの種たちに犯された。それを知った少女は嘆き、嘆き、嘆き、怒った。
何百年前の災厄はかくあろう、と誰もが思った。
少女は大きな大きな植物へと変化して、孤島じゅうを取り囲み、種たちを一人残らず串刺しにした。
少年は眠りのふちで少女の声を聞いたように思った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、愛してくれてありがとう、だから、どうか目を覚まさないで」
少年はにこりと笑おうとした。しかしできなかった。少年はなぶられた衝撃ですでに命を落としていたのだから。
そして、また、雨が降った。
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