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初夢 第一部

2007年01月03日 20:09

『「めしべ」と「おしべ」が生まれる。おしべはこの家を破滅に導き、めしべは幸福を連れてくるだろう』
そんな予言があったのに、生まれてきた子どもは双子の姉妹だった。

姉はおとなしい優等生、妹は学校の成績はぱっとしないがかわいらしい女の子だった。妹はいつも笑い声とともにある。姉はそれがうらやましかった。
年頃になると、また、話は変わってくる。おとなしい姉は男の子には相手にされず、明るい妹ばかりがちやほやされた。姉がひそかに思いを寄せていた伯爵の一人息子も、妹のとりまきの一人になった。
姉は泣いた。けれどもすぐに立ち直った。だって、双子なんだから。顔は同じはず。むしろ、頭のいい自分のほうが、その気になれば男を惹きつけられるはずだ!
そうして、半年後には姉は妖艶なる美女へと変化していた。舞踏会に出るや男達に囲まれ、毎夜毎夜違う男を屋敷に連れ込んだ。
妹に勝った!、姉はにっこりと、男に微笑む。
けれども、実際は違った。
妹は姉が連れてくる男たちを品定めし、自分の好みの男だけを姉から奪っていったのだ。姉は一夜限りのつきあいを主としていたので、それに気づくことができなかったのだ。
姉は外から男を連れてくる。妹は屋敷にいながらにして男を選ぶことができる。どちらがおしべで、どちらがめしべなのかは、言わずと知れたことだった。
一族は姉を処刑しようとする。
処刑される間際、どうして、おしべが自分なのかを問い、その理由を知るや愕然とした。そして、激しい怒りに包まれ、その身を変化させていった。
赤いドレスからすらりと伸びた腕には、血管らしきものがびくびくと浮き出ていった。それは顔にまで及び、やがて破裂した。そこから、植物の茎のようなものが伸びていった。はじめは細く折れそうなほどだったそれは、やがて幹のように太くなり、屋敷中を覆っていく。
「姉さん!」
妹は叫ぶ。「ごめんなさい!ごめんなさい!!」
妹は思っていた。姉の選ぶ男ならば間違いないだろうと思っていたと。
けれどそれを言葉にすることはかなわなかった。
もう、心臓を茎に貫かれていたから。
屋敷は茎の緑と、血の赤で埋め尽くされ、音が消えた。空から雨が降ってきた。
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